| コモンスフィアの特集第三弾ではアーティストの鴻池朋子さんによるアニメーション作品《みみお》の映像ファイルを紹介します。一つは1998年に制作された《冬の最後の日》、もう一つは2000年に作られ、全4章に分かれた《Four Seasons》です。この作品は、鴻池さんがクラシックの楽曲にインスパイアされて、その音楽構造に沿ったアニメーション映像として制作されました。みみおというキャラクターは、鴻池さん自身の描いた絵本の主人公であり、蜂の翼を持つ少女や狼、そしてナイフといったシンボルと共に彼女の表現における主要なモチーフの一つでもあります。
鴻池さんは、この作品の楽曲の音源に著作権的な制約があるために公共の場所で発表したり上映することが出来なくなってしまいました。無音の映像となったこの作品は、作家としてはこれ以上完成度を上げる事が難しい。それならば、いっその事、これを観る人にその進化を委ねてみようという気持ちからクリエイティブ・コモンズ・ライセンスを付けて公開する事を選択されました。鴻池さんが選んだライセンスはCC:BY-SA、通称CCコピーレフトとも呼ばれるもので、これは利用者が改変を行った場合は同じCC:BY-SAライセンスを使用して公開しなければならない、というものです。また、営利目的での二次利用は禁止されていないので、鴻池さんはこの作品を使って経済的な結果を生み出しても欲しいと願っています。
コモンスフィアでは毎回、制作物の「原素材=source(ソース)」を考えて提示してきましたが、今回は映像のソースとは何か、という議論を鴻池さんと交わしました.《みみお》は手描きのドローイング約6千枚をデジタル・スキャンして映像として編集された作品ですが、この際色々な考え方が可能です.圧縮された映像そのものがソースなのか、それとも一枚一枚の原画の方が原点なのか.それとも全体の構成を示す絵コンテの方が制作者の脳内イメージにより近いと言う事も可能でしょう.長い議論の末、コモンスフィアと鴻池さんが今回採用する結論は「動画そのものがソースである」という考え方です.鴻池さんとしては、感覚としては一枚一枚のフレームが原素材に近いかもしれないけど、静止画には「動き」の情報が付加されておらず、制作者としては「一枚一枚の絵」と「動き」を1セットで捉えて欲しいという願いがあります.
今回公開するデータは、それぞれの作品毎に全編のファイルだけではなく、カットや章だて毎に切り分けたセグメント(断片)に切って、QuickTIme形式(MP4圧縮)とAVI形式の二つの種類を用意しました(AVI形式は現在準備中です).これはAdobe PremiereやApple Final Cut Pro、iMovieなどの映像編集ソフト、またはAdobe After EffectsやApple Motionといった映像加工ソフトで直接取り込んで作業が出来ます.
映像そのものはモノクロ調の短編で、両作品合せて11分30秒の尺です。この作品に合った音楽作品を新たに付け加えるもよし、会話を追加するもよし、または映像そのものをカットアップして違う作品に作り変える事も可能です。良い二次創作を鴻池さんは見てみたいという事なので、この作品を作られた方で鴻池さんにお見せしたい方はぜひコモンスフィアまでご連絡ください。良質な作品が生まれた場合、将来において鴻池さんとのコラボレーションの機会が生まれるかも知れません。
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