commonsphereの特集第二弾のテーマは「教育の知をオープンにする」です。そこで今回は、NPO法人FTEXTをフィーチャーします。

FTEXTでは、独自に作成した教科書「数学Ⅰ」をクリエティブ・コモンズ・ライセンスで公開されています。そこで今回は、教科書を作成する「ソースコード」にあたる、「LaTeXファイル」を先行的に公開いただきました。(いままでは、「コンパイル済み」のPDFファイルのみが公開されていました。その経緯はインタビューにて語られています)。
さてこのLaTeX(とその原型であるTeX)とは、たとえばFTEXT教科書のように数式を含む文書をつくる際によく用いられる、大変に高度なDTPシステムとして知られています。ユーザーはまずHTMLのようなタグを含んだ文書(TeXファイル)を作成し、これをコンパイルすることで、美麗で高度な組版ファイルを生成することができます。
今回公開されるファイルは、FTEXT 数学Ⅰの第1章・第2章にあたるTeXのソースファイルと、独自のクラスファイルがダウンロードできます。今回は公開にあたって、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスのby-nc-sa(帰属 – 非営利 – 同一条件許諾)を適用しています。このFTEXTのソースコードを改変していくことで、あなたなりの教科書の二次創作などが可能になります。ぜひこのFTEXTの試みに直接触れてみてください。(2005.09.15)
コンテンツ
|
説明
|
適用ライセンス
|
![]() |
CC:BY-NC-SA ソースコードを改変しても再配布してもかまいません。ただし、作品の利用は非営利目的に限ります、また改変した作品は、これと同じライセンスによって再配布しなくてはいけません。 |
LaTeX環境の導入(例はWindowsXP)
(以下のリンク先のコンテンツは、それぞれの著作者に帰属します。=上記ライセンスは適用されません。また下記プロセスはあくまで参考であり、完全な動作を保障するものではありません。)
1. ptexの導入
「インストール(Windows) – TeX Wiki 」(奥村晴彦教授のTeX関連Wikiページ)で紹介されている、「TeXインストーラ3」(阿部紀行氏のページ)から、「pTeX」をインストール。
2. emath(数学作成マクロ)の導入
「emath」のページから、「丸ごとパック」をインストール。
(例 C:texsharetexmfptexplatexmiscemath というフォルダを作成し、「.styファイル」をコピー)
同じく、「その他:perl と連携するための補助ファイル emath.pl」をインストールする。
(emathpl05.lzhを解凍し、「.plファイル」を perlのlibフォルダ(例 c:perllib)にコピー)
2′. perl の導入
Windows Perl 環境である「Active Perl」をインストール。
(Windows MSI をダウンロードして実行後、再起動。)
3. FTEXTの利用しているstyleファイルのダウンロード
- eclbkbox.sty
- fp-basic.sty
- fp-snap.sty
- addjfonts.sty(wabun.lzhを解凍)
(emathの「.styファイル」を設置した場所と同じフォルダにコピー)
FTEXT TeXファイルのコンパイル
1. FTEXTクラスファイルの設置
ftextI.zipを解凍して生成された「fclassesフォルダ」を、「texmfフォルダ」以下にコピー。
( たとえば、「C:texsharetexmftex」以下など)
2. ディレクトの移動
コマンドプロンプトを起動し、ftextI.zipを解凍して生成された、「ftext/」フォルダへ移動する。
(.「C:ftext」にTeXファイルを置いた場合)
> cd C:ftext と入力しEnter。
3. 「suugakuI.tex」ファイルをコンパイル。
> platex -sh suugakuI.tex
* エラー(?とプロンプトの出る場合)はEnterかRと入力することでスキップ可能。
・FTEXTインタビュー
(commonsphere 特集2)
FTEXTとは:
http://www.ftext.org/
「『FTEXT数学』シリーズは,入門から大学受験までつかえる教科書をコンセプトに編集された,文科省の指導要領に少ししか準拠していないテキストです.」(ウェブサイトより引用)
たとえばTeXで作成されている書籍として、
亀田隆、高村正樹『Z会数学基礎問題集 数学I・A』『同II・B』『同III・C』(Z会出版,2000年)
ローレンス・レッシグ著、山形浩生・柏木亮二訳『CODE―インターネットの合法・違法・プライバシー』(翔泳社,2001年)
などがある。
(参考:TeXで作られた本 – TeX Wiki)